IB(国際バカロレア)教育

IB(国際バカロレア)教育

『共育』と『IB(国際バカロレア)』について

「国際的な視野を持つ、持続可能な社会(SDGs)の担い手」の基礎を育む

のぞみ幼稚園は、子どもたちが将来「国際的な視野を持つ、持続可能な社会(SDGs)の担い手」になるための基礎を育むことを目標とします。それが、子ども達を待ち受ける不透明な未来において、彼らが自分の力で幸せを勝ち取るために最も必要とされる教育・保育と考えます。この目標を達成するために、子ども達になって欲しいと教育者(保育者+保護者)が願う姿に、まず教育者自身がなるよう日々心掛けていきたいと思っています。

IB(国際バカロレア)の「学習者像」が、そうした「期待される人間像」です。子ども達と一緒に教育者もそうした姿に近づくよう努めること―「共育」―が当園の教育・保育方針です。

のぞみ幼稚園の教育目標である「国際的な視野を持つSDGsの担い手」を具体的に言うと、以下の「IBの学習者像」となります。将来そうした人間となるための基礎を、①SDGsに沿った「探求学習(アクティブ・ラーニング)」を行うこと、②芸術、音楽、体操、英語に注力すること、③それらの成果を「三大行事(運動会、発表会、作品展)」で発表すること、の三点を通して育むことが当園の主な教育内容です。

IB(国際バカロレア)の学習者像

  • 探究する人
    探究する人

    私たちは、好奇心を育み、探究し研究するスキルを身につけます。ひとりで学んだり、他の人々と共に学んだりします。熱意をもって学び、学ぶ喜びを生涯を通じてもち続けます。

  • 知識のある人
    知識のある人

    私たちは、概念的な理解を深めて活用し、幅広い分野の知識を探究します。地域社会やグローバル社会における重要な課題や考えに取り組みます。

  • 考える人
    考える人

    私たちは、複雑な問題を分析し、責任ある行動をとるために、批判的かつ創造的に考えるスキルを活用します。率先して理性的で倫理的な判断を下します。

  • コミュニケーションができる人
    コミュニケーションができる人

    私たちは、複数の言語やさまざまな方法を用いて、自信をもって創造的に自分自身を表現します。他の人々や他の集団のものの見方に注意深く耳を傾け、効果的に協力し合います。

  • 信念をもつ人
    信念をもつ人

    私たちは、誠実かつ正直に、公正な考えと強い正義感をもって行動します。そして、あらゆる人々がもつ尊厳と権利を尊重して行動します。私たちは、自分自身の行動とそれに伴う結果に責任をもちます。

  • 心を開く人
    心を開く人

    私たちは、自己の文化と個人的な経験の真価を正しく受け止めると同時に、他の人々の価値観や伝統の真価もまた正しく受け止めます。多様な視点を求め、価値を見いだし、その経験を糧に成長しようと努めます。

  • 思いやりのある人
    思いやりのある人

    私たちは、思いやりと共感、そして尊重の精神を示します。人の役に立ち、他の人々の生活や私たちを取り巻く世界を良くするために行動します。

  • 挑戦する人
    挑戦する人

    私たちは、不確実な事態に対し、熟慮と決断力をもって向き合います。ひとりで、または協力して新しい考えや方法を探究します。挑戦と変化に機知に富んだ方法で快活に取り組みます。

  • バランスのとれた人
    バランスのとれた人

    私たちは、自分自身や他の人々の幸福にとって、私たちの生を構成する知性、身体、心のバランスをとることが大切だと理解しています。また、私たちが他の人々や、私たちが住むこの世界と相互に依存していることを認識しています。

  • 振り返りができる人
    振り返りができる人

    私たちは、世界について、そして自分の考えや経験について、深く考察します。自分自身の学びと成長を促すため、自分の長所と短所を理解するよう努めます。

上記のことに加え、当園で伝統的に行われてきた以下の取り組み・指導を通し、心身の健康の基盤を確立します。

  • 「生きる力」を育む教育
    「生きる力」を育む教育

    どろんこ・水遊び、なわとび等を園での日常生活の一部とすることで、健康的で活発に行動できる力を高めます。

  • 衛生指導
    衛生指導

    手洗い、うがい、はみがき、衣服の調整等の習慣づくりに取り組みます。

IBコーディネーター紹介

IBコーディネーター 横山はるみ

IBコーディネーター横山はるみ

2025年度よりIBコーディネーターに就任しました横山はるみと申します。
のぞみ幼稚園には2024年度より、正課「えいごクラス」の専任講師として週2回子どもたちと過ごして参りました。本年度も兼任になります。

前任者(前園長であり、前IBコーディネーター)の遠藤克彦氏とは2023年に夏の平和イベントでご縁があり、世界から取り残された日本の教育への憂いや目指すところで意気投合し、さらに、幸和グループ全体の理念と歩みに深く共感し、共に関わらせていただくことを決意し、現在に至ります。

私は、20代に海外在住(アメリカ/NYC)経験、旅行添乗員、30代に子ども英会話教室、塾講師、40代からNPO法人理事長、顧問(小学校以上の不登校の親子の居場所)、に主に従事して参りました。また、NPO法人として13年活動する中で、多文化多世代その他マイノリティ支援の市民活動団体、公的機関とも重層的な協働を重ねてまいりました。

子どもたちが「幼稚園」や「学校」という社会から飛び出すと、直接的な受け皿になるのは「家庭」と「地域」です。広島ではそういった子どもたちへの経済的支援はありませんので、お金のかからない自然の懐の中で遊び、地域の人から伝統的な衣食住を学びました。現在20歳になったフリースクール卒業生は大阪で現在1人暮らしをしながらベンチャー企業に就職し、小さな時から描き続けている絵を生業にしました。

子ども英会話教室をしていたころから、世間はにわかに人とすこしでも違う動きや、大人のいうことを聞かない子を「問題」とみなし、発達障害とか、自閉症スペクトラムだとか、名前をつけはじめていたころです。私は、そんな中で、集団の中での個別支援や、インクルーシブの本当の意味をずっと考えつづけてきました。

持論として、支援者(保護者や支援者)ができることは、環境設定、整備のみであり、即ち、「1人1人違う性質をもち、家族をもち、環境をもつ子どもたちが、彼ら自身の学びを選択し、発言し、責任を持つことができる(ようになる)」環境をつくる(守る)ということのみです。スムーズではありませんし、幾度も調整を重ねながら、日々、成長する彼らは、どんな波(困難)も乗りこなすサーファーのようなバランス力が育ちます。

これはイコール、国際バカロレアでいうところの「エージェンシー」の滋養であり、「子どもが“自分でやってみたいという気持ちを大切にし、その選択と行動を支えること」にあたります。私は、前に述べたように、子どもの探究支援と地域共育実践者であり、IBの理論は昨年度から、前任者やIB本部からのワークショップなどで学びながら、本年度は先生たちと協働しながら緻密なプラン設計という「探究」に挑戦しています。

近年、日本は、表面では人とのつながりがあるように見えても、「助けて」と声をあげることが難しい社会かもしれません。私は、そうした社会を変えていくには、“共育”──ともに育ち合う力が必要だと考えています。

小さな日常のやりとりの中で育まれる思いやりや信頼の土壌こそが、これからの社会にとって本当の強さになると信じています。子どもたちは、まだ「正しさ」や「役割」で自分を縛ることなく、感じるままに寄り添い、つながり合う力を持っています。のぞみ幼稚園の学習コミュニティ(保護者と園)で支え合いながら、子どもたちが「誰かと生きること」「学ぶこと」を一生の喜びとして育めるよう、一緒に歩んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。