IB・PYPだより
- 2026.08.31
- IB・PYPだより
【IB/PYPだより】vol.11―― 違いを越えて、園というコミュニティをつくる ―
共に学び、共に育つ
― 違いを越えて、園というコミュニティをつくる ―
この夏、のぞみ幼稚園では、全職員で日々の教育・保育と、これからの園づくりについて考える研修を行いました。
研修では、現在の園のよさや大切にしたいこと、そして「これから、もっと育てていきたいこと」を一人ひとりが言葉にし、互いの考えを聴き合いました。
同じ園で働いていても、担当する年齢や役割、これまでの経験によって、見えている景色は異なります。
子どもの姿を近くで見守る人、園全体の流れを考える人、環境を整える人、食や健康を支える人。それぞれが異なる場所から子どもたちと園を見ています。
だからこそ、一人の考えだけでは見えなかったことも、それぞれの気づきを持ち寄ることで、少しずつ見えてきます。
今回の研修で大切にしたのは、誰かの意見を正解にすることではありません。
自分とは異なる考えにも、その人の経験や立場から見た「その人なりの正しさ」があるかもしれないと考えること。
そして、すぐに結論を出すのではなく、互いの思いに耳を傾け、「私たちにできることは何だろう」と一緒に問い続けることです。

「枠の外にいる人と、共に生きるということ」
最近、私は映画『急に具合が悪くなる』を観ました。
映画を通して私が考えたのは、社会の中にあるさまざまな「枠組み」と、その枠からはみ出す人、外側に置かれる人の存在についてでした。
効率や成果が求められる社会の中では、運営する側と現場にいる人、支える人と支えられる人、集団に合わせられる人と合わせることが難しい人など、さまざまな分断が生まれることがあります。
また、暮らしや家族の形が変化する中で、かつて地域や身近な人々の間にあった自然な助け合いや、「誰かのことをみんなで気にかける」という感覚も、持ちにくくなっているのかもしれません。
そのような社会の中で、立場や役割、文化、価値観の違いを越えて、もう一度「共に考え、共に生きる」ことには、どのような意味があるのでしょうか。
私はこの映画から、多様な人が集まるコミュニティには、すでにある枠組みや分断を越えていく可能性があるのではないか、と受け取りました。
これはあくまでも、映画を観た私自身の視点ですが、園という場所について考えるうえでも、とても大切な問いをもらったように感じています。

一人ひとりが「個」であり、同時に「共に生きる一員」である
私たちは、一人ひとり異なる存在です。
同じ出来事に出会っても、感じ方や考え方は違います。それぞれに得意なことや苦手なことがあり、必要としている助けも異なります。
一方で、私たちは誰とも切り離された存在ではありません。家庭、園、地域、社会、そして自然との関係の中で生きています。
一人ひとりがかけがえのない「個」でありながら、同時に、互いに影響を与え合うコミュニティの一員でもあります。
個人の小さな気づきや行動が周囲に働きかけ、園という共同体を少しずつ変えていきます。そして、共同体の変化は、そこで過ごす一人ひとりの安心や生き方にも影響していきます。
だからこそ、協働とは、全員が同じ考えになることではないのだと思います。
「地域」という場所でも考えさせられる機会があります。
異なる意見や迷いを持ったままでも、相手の存在を認め、同じ子どもたちの姿を見つめ、「よりよい明日のために何ができるか」を一緒に考えること。それが、私たちが育てていきたい協働の姿です。

子どもも大人も、生涯にわたる学習者
私たちが子どもたちに願っているのは、知識を身につけることだけではありません。
探究すること。
異なる考えに出会うこと。
自分の思いを表現すること。
困っている人に気づくこと。
自分にできる行動を考えること。
そして、よりよい社会を他者と共につくろうとすること。
それを子どもたちに願うのであれば、私たち大人もまた、そのように学び続ける存在でありたいと思います。
これまでの方法や自分の考えを大切にしながらも、「本当にこれでよいだろうか」「別の見方はないだろうか」「声を出せずにいる人はいないだろうか」と立ち止まり、問い直すこと。
子どもたちを変えようとする前に、私たち自身が学び、関係を見つめ直し、環境や仕組みを変えていくこと。
それもまた、教育に関わる大人の大切な探究だと考えています。

今、この瞬間を共に学び、共に育つ
今回の職員研修で見つかったのは、完成した答えではありません。
今ある園のよさを確かめながら、子どもたちがもっと安心して、自分らしく過ごし、自分の思いや「やってみたい」を表せる園にするための、新しい問いです。
先生たちは、子どもたちの姿や言葉を思い浮かべながら、立場を越えて意見を出し合いました。これから、その一つひとつを対話と実践へつなげていきます。
園長、職員、子どもたち、保護者の皆様、地域の方々。異なる経験や考えをもつ人々が、互いの違いを消すことなく、力を持ち寄ることのできるコミュニティをつくること。
それは簡単なことではありません。だからこそ、私たちは今、この瞬間から、小さな対話と行動を積み重ねていきたいと思います。
のぞみ幼稚園は、子どもも大人も、一人ひとりが大切な存在として受け止められ、共に問い、共に学び、共に育つ園でありたいと願っています。

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